雇用と給料の二面性 ── 経営者篇
起業に憧れてる人は起業の悪い面を知っていますか。コスト・赤字・倒産のストレスと、報酬と決定権の自由 ── 経営者として働くことの二面性を、雇う側の論理で描く。
連載 3/4。2/4 労働者篇 の続きです。
経営者とは、社長や代表取締役のことでもあります。主な仕事は経営方針をたて、そこから計画をたて、そこから組織をつくり、その組織の意見を調整するなど、会社の根幹を担います。

出典: 雇用形態別雇用者の推移と近年の特徴(厚生労働省)
役員ですらその人口は約 5% ほど。その中に社長が含まれます。
というわけで経営者の特徴は、会社の根幹を担うということは、全ての雇用している労働者の明日の生活を色んな意味で “背負う” ことになります。どんな意味なのかみていきましょう。
1. 経営者のデメリット
経営の責任とはなんでしょうか。それは コストを抑えて利益を出すこと にあります。利益を出さなければお金を貸してくれている投資家や銀行にお金を返せませんし、労働者へ給料を払うこともできませんし、ましてや事業拡大もできません。
そのためにはありとあらゆることを考えて実行しなければいけません。新サービス・新商品の立ち上げや、労働者とのコミュニケーション、資金調達、メディア露出などなど。
休めない
そんな状況になれば 必然的に休みが少なくなっていきます。会社に出勤していなかったとしても、日常的に会社のことを考えてしまい、実質的に休みをとれることはあまりありません。

出典: 2016 年中小企業白書
経営者の 4 割は休む日が特に決まっていないとされています。
赤字のストレス
また、会計上の定義や税金対策などを加味したとしても、赤字に対するストレスもあります。

出典:「赤字企業 7 割」は本当か?(経営コンサルティング Initiatives)
国税庁によると企業の 7 割は赤字とされています。
倒産
そして会社としてはゲームオーバーとなる 倒産 です。

出典: 全国企業倒産状況(東京商工リサーチ)
年間約 5 千社から 1 万社が倒産しているとされています。
2. 経営者のメリット
一方で、経営者のメリットは何でしょうか。きっとみなさんが一番にイメージで思いつくのは「給料(報酬)が高いこと」だと思います。

出典: 中小企業社長の適正年収、役員報酬の決め方
有名上場企業の年収は億単位になる場合もあります。

出典: 100 Highest Paid CEOs
アメリカのトップは数千万ドルから 1 億ドルとされています。
クビを切る権限
また 労働者のクビを切ることもでき、嫌いな人や苦手な人と働く必要はありません(もちろん常にクビにできるわけではありませんし、私的な理由でも難しいですが、やり方はいくらでもあります)。

出典: 世界経済の潮流(内閣府)
国別の失業率推移。新興国より先進国の方が高い傾向があるとされます。
仕事のやりがい
先ほどはごく一部の年収の高い経営者を並べましたが、一般的な経営者はそうでもないようです。ただ 「仕事のやりがい」への満足度はとても高い とされます。

出典: 2016 年中小企業白書
経営者の 7 割が自分の仕事に満足感を感じているとされています。
経営者のまとめ
最近は起業ブームなのかもしれませんが、このように経営者にもデメリットがあります。一部の経営者によって経済を大きく成長させてきた/成長させていますが、全員が全員そうではないことを覚えておきましょう。そして年収が高ければいいわけでもなく、そこにもメリットとデメリットがあります。
- 利益を出さなければ投資家・銀行・労働者すべてに迷惑がかかる
- 休めず、赤字に追われ、最悪は倒産というゲームオーバーがある
- 一方で、報酬の上限は労働者よりずっと高く、クビを切る権限を持つ
- 仕事のやりがいへの満足度は労働者と比べてとても高い
労働者から見れば「給料を決めるのは経営者」かもしれません。経営者から見れば「給料を払うために自分が利益を出し続けなければならない」というプレッシャーがあります。
労働者と経営者のあいだに立つのが、両者をルールで結ぶ 政府 です。最後の章では、政府ができることをまとめます ──
→ 次の 4/4: まとめ篇 ── 政府があなたの給料のためにできること → 連載目次: 1/4 背景篇 ・ 2/4 労働者篇