ベーシックインカムの二面性 ── メリット篇
人は自由にお金が使えれば、理性的に使える存在だ。余暇・消費・社会参加・貧困対策・行政効率 ── BIが解き放つ可能性を、賛成派の論理とデータで描く。
連載 2/4。1/4 背景篇 の続きです。
「人間は自由にお金が使えたら、適切に使える理性的な存在だ」── この前提から見ると、ベーシックインカムには大きなメリットがあります。
余暇が増え、消費が動く
BI が導入されれば、人は労働時間に縛られず、空き時間が増えていきます。空き時間の推移を見てみましょう。

出典: レジャー白書 2015 / 日本人の働き方と労働時間に関する現状
- 以前に比べて総労働時間は減っている(全労働者平均)
- 年間休日日数は以前より増えた
- しかし平日 1 日あたりの労働時間はあまり変わっていない
- その影響なのか、余暇市場は減少傾向にある

出典: 経済産業省 産業活動分析 平成 17 年
一方で、「今後の生活の力点にレジャー・余暇生活を置く」と答える人の割合は多い。つまり潜在的な余暇需要はあるのに、市場が応えきれていない状態です。BI が導入されたら、その潜在需要が動き出す可能性があります。
ただ休日を増やすだけでは余暇市場は刺激されません。収入の保障があってこそ、人は余暇に時間と金を使う という前提があります。
消費が増え、経済が回る
経済が上手く回るためには、消費が増える必要があります。前段で「企業利益と給料は必ずしも相関しない」という話がありましたが、「消費を安定的に行なう」という理性的な行動があれば、給料も安定的に上がる経路に乗るかもしれません。
余暇時間の代表的な使い方を見ていきます。
- 主要教養・娯楽サービス(旅行/習い事月謝)への消費支出は増えている
- 主要教養娯楽サービス(劇場・施設利用/観戦観覧)への消費支出も伸びている
そして消費の代わりに 社会参加 に時間を回す人も増えています。

出典: ボランティア活動の実態をグラフ化してみる(2011 年 社会生活基本調査)
年代によってはボランティア率が増えており、社会参加に繋がっています。労働だけが社会参加ではなく、ボランティアや創作活動も含めて多様化していく ── これが BI が拓くひとつの絵です。
余暇時間の充実で消費が増えれば消費税の税収も増え、BI の財源が拡充されやすくなります。企業利益が増えて給料も上がれば、好きで働いている人にとっても余裕が生まれます。
貧困層への直接給付
BI のもうひとつの大きなメリットは、現金給付によって貧困層に直接お金が届く ことです。

出典: 貧困統計ホームページ
子育て貧困がなくなれば少子化対策にもなり得ます。複雑な窓口や手続きを介さずに、誰にでも同額が届くというのが BI の効率の良さです。
行政コストの簡素化
そして、これまでの複雑な社会保障を BI に置き換えることで、これまで非効率だった行政の運用コストが大きく削減される可能性もあります。

出典: 日本の税収約 50 兆円なのに、公務員人件費だけで年 27 兆円も出費!政府は人件費をアップへ!一方で社会保障は削減!
公務員の人件費は年間で 20 兆円以上かかっています。BI 一本に整理することで、複雑な制度を維持するためのコストの相当部分が消えるはずです。
賛成派のまとめ
最低限のお金と多くの空き時間があり、人々がそれを 理性的に使える という前提が成り立つなら、BI のメリットは大きく現れます。
- 自己責任が増えるが、自由になる。消費の方法が最適化される
- 社会参加の方法(労働・投票・消費・ボランティアなど)が多様化し、個人個人が好きな生活を送りやすくなる
- 現金給付によって貧困層が救われる
- 最低賃金は、仕事をやらなくなる人が増え、雇用確保のため上げざるをえなくなる
- 公的福祉や労働規制に無駄がなくなる
ただし、これは「人間は自由にお金を理性的に使える」という前提があってこその話です。その前提が崩れたとき、何が起こるか ──
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