多様性の二面性 ── 背景篇
なぜ多様性のある社会は簡単に成立しないのか。人種・民族・宗教・性別・世代まで、いまの社会に存在する多様性の輪郭を 13 枚の資料で概観する 4 部連載の序章。
これは特定の人種・民族・宗教・性別・世代を支持・非難する目的ではなく、多様性を受け入れる立場と受け入れがたい立場、それぞれの論理を独立した記事として描き、両側の視点を提示するための作品です。個別の属性を断罪する意図はありません。
多様性 とは何でしょうか。
ダイバーシティ(diversity)とも言われますが、簡単に言えば「色々な種類や傾向があること」です。生物多様性というのは動物や植物にたくさんの種類があるということです。
これが自然ではなく人間社会になると、たとえば 人種や宗教、民族などさまざまな違いがあり、これも一種の多様性です。
なぜ今、多様性なのでしょうか。それは 過去の差別(奴隷やユダヤ人など)に対して人権の考え方が普及したことや、グローバリゼーションと資本主義によって人・物・金・情報がどんどん国境を越えて移動しているため と考えられます。
過去にも様々な地域で多様性があったとも言われていますが、現代で大きく違うのは人口の多さと交通・電信技術の発展 でしょう。そしてこの多様性をめぐって、様々な社会問題が生まれています。
本連載は 多様性の二面性 を全 4 回に分けて見ていきます。
今回は多様性を概観するために、いくつかの資料を順に見ていきます。
人の側の多様性
まず人そのものの違いから。人種、民族、宗教、性別、ハンディキャップ、婚姻のかたち ── これらは全て、社会の中で「同じではない」ことを生み出す軸です。

出典: 遺伝的近縁図(Wikipedia)

出典: 木を見て、人を見る

出典: Major religious groups(Wikipedia)

出典: セクシャル・マイノリティ

出典: 障害種類別の障害者数(内閣府)

出典: 結婚(Wikipedia)
内面と環境の多様性
人の外側だけでなく、性格・学歴・世代・職業のように、生きていくなかで形作られる軸にも多様性があります。

出典: 若者まるわかりクラスター: 10 人 10 色のワカモンたち

出典: 最終学歴分布をグラフ化してみる

出典: 日本の男女別 5 歳年齢階級別人口 人口ピラミッド

出典: 厚生労働省編職業分類(平成 23 年改定)
情報経路の多様性
また、情報の知り方(知る内容やその編集方法)が違うことで日々考えることが変わるとすれば、メディアの多様性 も存在します。

出典: 専門誌ジャンル別出稿のご案内/雑誌広告媒体一覧

出典: 新聞の販売部数などをグラフ化してみる

出典: 都道府県別スマートフォン利用率動向
多様性の核心にある問い
これだけの軸が重なる社会で、二面性の核心はどこにあるか ── kumoism がこの連載で立てる問いはこれです。
人は、自分とまったく違う他人を、深く傷ついても受け入れ続けられるのか。
成立篇(賛成派)は「人は他者を受け入れることで、より豊かに生きられる存在だ」と前提を置きます。 不成立篇(反対派)は「人は基準と仲間意識を持つかぎり、本質的には他者を排除してしまう存在だ」と前提を置きます。
このどちらが「正しい」かは、データだけでは決められません。しかしどちらの前提を取るかで、社会に求めるルールも、教育の方針も、税金の使い道も、大きく変わります。
次の 2 回では、成立する側の世界と、成立しない側の世界を、それぞれ独立した記事として書きます。
→ 次の 2/4: 成立篇 ── 受け入れる社会の論理