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大量電気消費と原発の二面性 ── メリット篇

今の便利な生活、経済成長、ものづくり ── すべては発電所が支えている。原発再稼動を含めて電気を確保することの恩恵を、賛成派の論理とデータで描く。

連載 2/4。1/4 背景篇 の続きです。

大量の電気こそが、今の便利な生活と経済成長を支えている」── この前提から見ると、原発再稼動を含めて発電容量を確保することには大きなメリットがあります。

今回は 大量電気消費のメリット篇 を紹介します。

家庭の便利は、すべて電気の上に乗っている

今の私達の生活があるのは電気のおかげです。 洗濯機があるから洗い物が簡単にできます。冷蔵庫があるから食べ物が傷まずに保存できます。テレビ・スマートフォン・インターネットがあるから、情報を動画と音声で受け取れます。

品目別家庭用電力消費の推移

出典: 電力使用量を減らすには(蒲郡市)

家庭の電力消費は品目を増やしながら長期的に増加してきました。エアコン、給湯、照明、家電 ── どれも数十年前には存在しなかったか、ぜいたく品だったものです。

家庭のエネルギー消費の増加

出典: 増加する家庭のエネルギー消費(資源エネルギー庁)

毎日いろんな製品で電気を使うようになりました。「電気が止まる日」が来たときに失われるものの大きさを、私たちはほとんど想像できないほどです。

経済成長は電気のおかげで成り立ってきた

家庭 に続いて、今度は 企業(産業) の方を見てみます。いわゆる 「経済成長」は電気のおかげで成り立ってきたと言っても過言ではありません。

経済成長と電力消費の相関

出典: 経済成長と電力消費

ある一時期までは、経済成長と電力消費量は密接に関わって いました。GDP の伸びは電力消費の伸びに支えられ、その逆もまた成り立っていた、と考えられます。

電力が安定して供給されること ── それが工場を回し、雇用を生み、税金を生み、社会保障の財源を生む。産業の連鎖の根元 に電気はあるという見方ができます。

ニッポンのものづくりを支えてきた電気

どんな分野で電気のお世話になっているのでしょうか。それはずばり「ニッポンのものづくり」です。

部門別の電力消費構成(製造業が圧倒的)

製造業が圧倒的に電気を使っています。

製造業の中の電力消費(鉄鋼業と化学工業で 60%)

出典: 平成 24 年度エネルギーに関する年次報告(エネルギー白書 2013)

製造業の中でも、鉄鋼業と化学工業の 2 業種だけで 60% を使っています。鉄や化学品は他産業の素材になるため、ここを止めると、自動車・建設・電機 ── あらゆる産業に波及することになります。

製造業就業者の推移

出典: 製造業の就業者、51 年ぶり 1000 万人割れ

製造業の就業者数は近年減ってはいるものの、過去には多くの人の働く場所 にもなってきました。電気を止めるという選択は、過去にこれらの仕事に就いていた人々の人生を支えてきた構造そのものを止めることでもある、と考えられます。

エネルギーの経済・雇用への影響

出典: エネルギーの経済・雇用等への影響(野村総研)

多くの製造業の労働者を、少ない電力会社の労働者が支えている とも言えます。発電所で働く少人数が、何百万人の働く場所と給与を間接的に守っている構造です。

発電所が私たちの生活を支えている

これらの 電気は発電所から供給されます。 火力発電、水力発電、原子力発電、太陽光発電、風力発電 ── 様々な方式の組み合わせで賄われてきました。

日本の発電力の供給量割合

出典: 【エネルギー】日本の発電力の供給量割合[最新版]

今まで様々な発電所のおかげで電気が供給されてきました。原子力発電がだめになったら火力発電がそれを補う ── このバックアップが利いてきたからこそ、震災後も電気の止まらない日常を維持できた、という見方もあります。

原発を止めれば火力で焚き増し、その分の燃料費は電気料金に跳ね返り、CO2 排出量も増えます。電源の多様性こそが、安定供給とリスク分散の両方を可能にしてきた という主張が、賛成派の核にあります。

賛成派のまとめ

脱原発や温暖化対策などで嫌われがちな発電所ですが、私達の生活を日々支えてくださっている発電所のみなさん、ありがとうございます。

「電気がたくさんあるメリット」を享受している以上、その源を肯定し、安全運用とリスク管理を高度化していく ── これが賛成派の世界観です。

ただし、これは「便利な生活を維持し続ける」という前提があってこその話です。その前提に踏みとどまるとき、もう一方の側では何が起きているか ──


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