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社会保障の二面性 ── メリット篇

高齢者を支えることが豊かな社会の条件だ。労働力人口、女性活躍、移民、職能訓練 ── 社会保障を厚くする側の論理を、データと共に描く。

連載 2/4。1/4 背景篇 の続きです。

高齢者の長生きのために、若者は仕事を頑張るべきだ」── この前提から見ると、社会保障の充実 は当然の選択になります。

簡単に言えば、量と質の両面で労働力を引き上げ、社会保障費に貢献する ── これが賛成派の道です。若者は労働が好きか嫌いかに関係なく働いて社会を支える、という形になります。長生きできる社会は、長く働ける社会と一体だという発想です。

なぜ「働く人を増やす」必要があるのか

働ける人の数は年々減っている

出典: 厚生労働省 労働力人口の推移

働ける人の数 ── 労働力人口は、年々減っている とされます。一方で支えるべき高齢者は増え続けます。この差を埋めなければ、社会保障の財源は確保できません。

だからこそ、社会保障を維持したい立場ほど「働く人を増やす」政策を強く主張する ことになります。社会保障は単なる支出ではなく、社会全体で支え合うための共有財だという理解です。

働ける人・働きたい人を増やす具体策

賛成派が提案する具体的な改善策は、次のように整理できます。

どれも「一人あたりの労働の生産性 × 働く人の数」を増やすための施策です。社会保障費の財源は、最終的にはここから生まれます。

政府の歳入・歳出を組み替える

労働だけで足りなければ、政府のお金そのものを組み替える案もあります。

歳出側の効率化と歳入側の拡大を同時に進めることで、社会保障に回せる予算を確保するという考え方です。

賛成派の倫理 ── 「社会で支える」ことの意味

賛成派の前提は、長生きできる社会こそ豊かな社会だ という価値観です。

人は誰でも年を取ります。今働いている若者も、いずれは年金や医療に頼る側になります。世代をまたいだ支え合い をやめてしまえば、若者自身も将来、孤独な老後を引き受けることになります。

また、社会保障は単なる「高齢者への給付」ではなく、医療・介護・教育・育児を含む 生活インフラ全体 を意味するとされます。これを切り下げると、結局は若者の生活コスト(介護のために仕事を辞める、医療費が払えないなど)も跳ね上がります。

「自分の人生は自分のもの」と言い切るには、その人生を支える土台があまりに国家機能と絡んでいる ── これが賛成派の見方です。

賛成派のまとめ

「高齢者を社会で支える ── それが豊かな社会だ」という前提に立つなら、社会保障の充実は当然の選択になります。

ただしこれは、「働けばちゃんと暮らせる社会が今もある」という前提があってこその話です。その前提が崩れたとき、若者の側からは違う景色が見えてきます。


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